もう読書週間のお題は募集していませんが、このブログの使命である「キリスト教に興味を持ってもらう」ために、書評を書いてみたいと思います。
ワタクシのお勧めの3作品を挙げます。
1.モモ
これは別ブログでも紹介してるのですが、本当に良著でして、現代的な問題を真っ向からとらえてるんだけどもちゃんと「児童文学」であり「メルヘン」である、という奇跡のような1冊です。
全ての方にお勧めしたい良著です。
この1冊をクリスチャンとして読むと、さらに読みが深まります。
もともと、ヨーロッパの文学です。
そこにはキリスト教の香りがあって当然というか、そもそも読者がクリスチャンであってキリスト教を理解し、知っていることは、作者がこの作品を書いている時の前提みたいなもんだと思います。
そういう視線でいくと、黙ってただ相手の話を聞くモモの姿勢は、極めて霊的な行為で、相手をどこまでも受容し、赦して受け入れる「キリストの愛」「神の愛」の具現といえます。
あらゆる対人業務あるいは対人サービスの基本でもありますね。
そして、時間泥棒たちは人の心を滅ぼすサタンの働きを表している。人の罪、という見方もできますし、人道的な働きを妨げるもの全てを表しているのかもしれません。
マイスター・ホラーに至っては、もろ「神」を、私は思い出しました。おそらくクリスチャンなら誰でもそういう想起をすると思います。
2.罪と罰
ドストエフスキーの名作です。
その名も「罪と罰」なので、キリスト教的な作品かと思いきや、クリスチャンでなくても読んで理解もできるし、感動もできるし、理解もできると思います。
そういう点で宗教、国歌、時代を問わず読める作品で、ものすごく秀逸な文学です。
けれども、キリスト教の救いと「復活」をクリスチャンのように体験していると、この作品の最後の「春」の描写がより理解できるという気がします。
また、作者自身は読者がクリスチャンであるという前提でこのテーマを設定したという感じはします。
「これも罪なのか?」
また、「なぜ神はこのような現実を放っておくのか?」
そして「神は本当にいるのか?」
「しかし我々はなぜ、罪の思いにとらわれてしまうのか?」
「なぜ許されることが大切だと思ってしまうのか?」
「救いとは何なのか?」
それら全ての問いを経てなお、最後の「春の兆し」の描写が心に染みます。
それが作者・ドストエフスキーの出した「答え」なのかな?
ただ、ものすごく問いかけてくる作品です。
文化を越え、国を越え、時代を越え、思いを越えた体験ができるのも文学の持つ醍醐味とも言えますね。
3.大地
これは、文句なく面白い!
中国が舞台ですけど、日本人の価値観と基本同じだと思うので、とても面白く読めます。
次はどうなるのかな、というふうに先を読みたくなる。
あと、ドストエフスキーのロシア文学とかだと名前がややこしかったりするけど、「大地」だと「王一」「王二」「王三」みたいな、名前の単純化もステキです。
作者のパール・バックは宣教師の子供で中国育ち。非常に強い中国的な価値観を持って、この作品を書いています。
物語として面白くて、「モモ」と同じく、読み手の価値観を形成してくれる作品だと思います。
この作品に出てくる宣教師の、現実とのずれ具合。伝道に従事する宣教師さんは、耳が痛くても一度読んでおいたらいいんじゃないでしょうか。きっと勉強になります。
この3冊のうち、読みやすい順に並べると
モモー大地ー罪と罰
かな。
仔羊おばさん